販売増が止まらない都市ガス大口分野で新規参入も著しい伸び

摘要

日本ガス協会がまとめた平成18年度の都市ガス販売実績によると，家庭用など3用途が高気温の影響で前年割れだったにもかかわらず工業用が二桁の伸びを示したため，215社合計で前年比4.0％増の337億6,198万m~3（1万kcal，以下同じ）と好調な伸びを維持した。 これにより，都市ガス販売の前年比プラスは昭和53年以来29年連続となった。 ひたすら右肩上がりの成長を続ける都市ガスだが，この10年の推移をみてみると気温の変動に振り回されていることもよくわかる。平成9年度の家庭用が前年比1.2％減だったのを皮切りに10，13，16，18年度と家庭用はこの10年で計5国も前年割れを記録し，更に18年度は家庭用だけでなく商業用とその他用（病院·公共施設等）もマイナスだったのだ。 こうした気温による家庭用等ガス販売量の上下動を吸収してこれまで都市ガスが右肩上がりの成長を続けてきたのは，いうまでもなく工業用の伸びが全体を支えてきたからで，平成18年度の工業用ガス販売量164億5,225万m~3は，10年前の平成8年度の75億444万m~3に比べて2.19倍のボリュームとなっている。 18年度で全体の販売量の48.7％を占めてもおり，いまや完全に都市ガスは工業用がその主座に着いてしまっているといっていい状況。 都市ガス業界は今後も更に工業用を中心に右肩上がりの成長を続けるだろうが，家庭用ガス販売の停滞は都市ガス経営に影響を与えないのか，自由化分野である大口獲得で大きな問題はないのか，更に新規参入者との競合や他エネルギーへの影響はどうなるのか，久しぶりに本誌記者2人に語ってもらった。