7月値上げ阻む原油市況急落産燃油市場，供給過剰も追い打ち

摘要

7月入り時点で70．4ドル／バーレルだったドバイ原油東京市況（終値）は，その後急落して10日には60．8ドル／バーレルに下げた。6月の同原油は，月間平均市況で69.25ドル／バーレルと－なり，5月の58．15ドル／バーレルから11ドル/バーレルはども急騰していたのだが，その後は世界景気の回復期待が後退して今後も需要不振が続くとの観測が強まったことや，アメリカで先物投資規制強化の動きが出てきたことなどから，一転して売り先行となったようだ。この原油急落に大幅借上げを目指して動き出していた産業用燃料油の7月値取りは大きく足を引っ優られている。月単位の値決めが多い産燃油需要家納め価格の値上げ交渉は，長引く不況による需要低迷で値取りが進まず，6月の大幅なコスト上昇を受けた7月価格での億取り達成に起死回生の望みを託していたが，先安観の台頭で出鼻をくじかれた形だ。7月の原油コスト上昇分は新日石ベースで8．1l／月にもなるが，現状ではその半分も転嫁できればいい方だろう。原油反落が尭物価格やスポット市況の反落へと拡大，市場連動へと変わった各元売の週間仕切も値上げ継続が危うくなっており，製油所も次々に定修明けとなる今後は供給過剰感も強まってきそうだ。市場連動の週間新仕切と供給過剰とがダブルパンチとなって，7月値取りそのものが危機となりかねない情勢だ。