熱量等価で原油より安いLNG都市ガス大口供給料金は値下がり

摘要

原油価格高騰の折，LNG輸入価格の安定性が際立っている。 5月のCIFでも，原油輸入価格が円建てで3万4，101円／klと前年同月比42．8％の高騰だったのに対して，LNGは3万1，650円／トンと同12．2％の値上がりでしかなかった。 百万BTU当たり原油輸入価格が677．77円であるのに対して，LNGは599．43円と4月に続いて熟土等価でLNGの方が割安になっている。 LNG価格の安定性，逆転の理由は後述するとして，原油に対し全く価格面で引けをとらないこともあって都市ガス需要は極めて好調に推移している。 平成16年度の全国の都市ガス販売量が301億3，803万m~3（1万kcal換井）と前年度比5．3％増だったのに続いて，今年度も4月が8．1％増，5月が5．2％増と好調が維持されているのだ。 とりわけ16年度平均で10．4％の伸びを記録した工業用は，今年度に入っても4～5月の平均伸び率が11．0％と依然変わらぬ好調さで，価格だけが二桁増の原因ではないとしても存分にその存在意義をみせつけている。 こうした状態が今後も続けば都市ガス対石油，LPGとの競合がどうなるか誰にでもわかることだが，実際このエネルギー高価格時代に最も競争が激しい工業用分野で，都市ガス大口供給料金は16年度など上がるどころか逆に下がっているのだ。周辺業界は，都市ガスに対して公益特権に守られているとか，効率の良い都市部だけを供給区域にしていい患いをしているとか様々な批判をしているが，それはそれとしてその際立った動向，勢いには誰もが剖目すべきだろう。