家庭用ガス販売の重み顕著都市ガス大手4社中20年3月期中間

摘要

東京，大坂，東邦，西部の都市ガス大手4社はこのほど平成20年3月期中間決算（個別）を発表したが，家庭用ガス販売があまり減少しなかった東邦を除いて3社は大幅な減益という家庭用ガス販売によって極端に業績に差が表れた中間決算となった。 電力業界は柏崎原発稼動停止の影響で東京電力が今期の赤字見通しを発表して大揺れだが，都市ガス大手4社は好調な天然ガス需要を背景に赤字は全く考えられない状況。 問題は営業，経常段階でどれだけ利益を挙げられるかというだけで，当中間期はそれが4社中3社が大幅な減益に振れたというだけのこと。 しかし，今後規制に守られている家庭用が自由化され，全面自由化となれば都市ガス大手4社といえども安閑とできなくなる。 新規参入者との競合，更には同業他社との競合で，これまでのような供給区域に守られた中での料金設定，需要家獲得ができなくなるからだ。 現に供給区域に守られていない自由化部門で大阪ガスは競合激化から18年度に15億9百万円の赤字を出し，エネ庁からその旨の発表がなされたりもしている。 家庭用自由化はまだ先の話だし本当に実親するかどうかわからないが，そうした供給区域に守られていない一般企業の目から都市ガス各社の決算をみると，またいかに現在の都市ガス事業が経営環境に恵まれ，特権的地位にあるかがよくわかろうというものだ。