LPガス取引適正化·料金透明化は顧客の視点で

摘要

平成9年に改正液石法が施行されて早や10年，LPガス業界を取り巻く環境は大きく変貌している。例えば，九州地区をみると，オール電化の普及は平成10年に6万戸に過ぎなかったものが，現在は30万戸を突破，電力会社の平成21年オール電化50万戸目標計画は容易に達成されるとみられでいる。 また，温暖化，少子高齢化，過疎化，ライフスタイルの変化などLPガス需要の減少にうながる環境の変化も進行している。 一方，平成15年に制定された「エネルギー基本計画」においてLPガスは「環境負荷が相対的に小さく，天然ガスとともにクリーンであり，災害に強く国民生活に密着した分散型のエネルギー」と位置づけられ，今後の需要拡大が期待されている反面，同計画において「ガス利用者の利益をより一層増進する観点から，取引の一層の適正化を図るため，料金の透明化，書面の記載内容の適正化を推進する」と指輪されている。 思い起こせば平成11年，公正取引委員会，規制改革委員会などから相次いでLPガス販売取引の問題点が指摘されたのを受けて，エネ庁から「LPガス取引適正化·料金透明化に向けた措置」が通達され，翌年には「LPガス料金問題検討会最終報告」が取りまとめられた。近年の取引適正化を巡っては，その中心は無断撤去問題であり，設備の所有権と保障の問題であって，消費者利益増進の観点よりも販売事業者の既得権益をいかに守るかに傾斜していないであろうか。 「取引適正化·料金透明化」に求められているものが何なのかを再確認しなければ競合エネルギーと同じ土俵で争うこともできないであろう。