ICタグ誤認識防止用パタ一ソ吸収シート

摘要

UHF帯ICタグシステムが普及するには，日本やEUなどの認可周波数帯域が狭い場合は電波干渉の問題を相当程度に解決しなければならない。 電波干渉対策とタグの読み取り率の向上のため各社にて様々な検討がなされており，電波吸収体の利用もそのための手段の一つである。様々な対策の中で，電波吸収体は唯一不要な電波を吸収して消失させるという効果をもたらすことができ，電波吸収体を併用することで他の干渉回避対策がより生きてくる関係を有している。 しかし，電波吸収体にしてもUHF帯域で，吸収性能が高く，取り扱い易く，価格対応性に優れたものはなかった。 今回，これらの特徴を備えた電波吸収体を利用して，簡易な実験であるがICタグシステムの電磁干渉抑制用途の効果を有していることを確認した。 とくにRFIDの通信に不要となる電磁波を遮蔽しつつ，反射波を発生しないという特長が電波の指向性を制限する用途に有効となりそうである。弊社はこれらのデータ測定後，（社）日本自動認識システム協会（JAISA）の平成18年度の実証試験に参加し，ICタグシステムにおける電波吸収体の通信改善効果を立証している。 また本稿では紹介していないが，リーダアンテナの電波指向性を制御するために，アンテナ側壁板として電波吸収体を用いる構成の検討も進めている。 ICタグシステムが物流分野に浸透していくための一つのツールとして，電波吸収体が認知していただけるように製品開発および実証試験の参加に努めていきたい。