化学物質のリスクアセスメント概論

摘要

1992年のリオの環境サミットで、いわゆる「化学物質の総合安全管理」のためにリスクに基づく意志決定が打ち出され、国内の産官学で「リスク」という言葉がよく使われるようになって15年が経過しようとしている。 一般社会でも「リスク」という言葉があふれている感があるが、「リスタに基づく意思決定」がもつ本来の意味がどれだけ理解され実行されているかは疑問であろう。 2006年末にEUで化学物質管理のためのREACHシステム関連法案が成立し、物質のリスタ評価の責任が行政から事業者に移されることになるなど、時代は新しい局面を迎えようとしている。 ここでは、化学物質のリスクとはなにか？ どう評価するのか？どう行動に結びつけるか？ などの考え方の概要を述べる。 広く深い問題であり、関連する科学技術には際限がない。 紙幅の都合で具体的内容に触れることはできないが、ここ数年でいろいろなレベルの日本語のテキストが出版されているので、それらを参考に世界を広めて欲しい。