わが国教育改善改革の行方-再び教養主義は復帰するか-

摘要

薩摩藩士出身の森有礼は若き日に選ばれて英国留学生となり（1865年）、英国及び米国に赴いて西欧文明事情を学び、帰国（1868年）とともに外交畑に進hだ。 明治12年（1879年）英国公使として赴任し、折から憲法制度調査のため訪欧中の伊藤博文を同15年（1882）9月初旬パリの宿舎に訪ね、ともに胸襟を開いて憲法発布後の国民教育はどうあるべきかを夜を徹して語り合った。 伊藤は森の教育行政への識見に感服し、いずれ内閣を組閣する場合は、森を文相にとの思いを深めた。森有礼は明治18（1885）年12月、初代伊藤内閣の文部大臣に就任。 宮中の側近には、有礼を西洋晶眉とみて敬遠する向きもあったが、伊藤は私が内閣の首班となる以上、閣僚の一人たりとも陛下の叡慮を煩わすような言動はありえないと断固たる決意を表わして大方の了解を求めた。 有礼もまた、祖国のために「新生」（New Life）の重責を綿うことに、一大決意を監めた。