平成21年度ルテニウム系塩化水素酸化触媒の開発と 実用化

摘要

実用化までの経緯を振り返ると.塩化水素酸化法は，研 究着手時点で既に，三井化学(株)のMTクロル法が実用化さ れていたが，流動床プロセスであり，高転化率?が可能な 固定床プロセス化できれば.高い競爭力で実用化できると 考えていた.平衡の制約から，高転化率を達成するには低 温触媒活性すなわち触媒の高活性化が重要と捉え，貴金屬 に注目した.RuCl_3触媒の活性が良好なこと,塩素発生 電極触媒としてRuO_2-TiO_2が優れた実用性能を示すこと等 から検討をRu触媒系に絞り,RuO_2/TiO_2触媒を見出した. さらに担体にルチルTiO_2を用いることで特異的な高活性 が発現し,年産1000 tの実証(Fig. 1)試験へと進hだ. 実用化に関しては，当プロセスに興味を抱かれた企業を皮 切りに2002年から現在に至るまで国内外計6社7プラン トへのライセンスが行われており，現在もライセンス活動 が続けられている.一方，触媒探索について振り返ると， 当時は調查手段や得られる情報も限られており.開発を正 しい方向に進めるだけでも容易ではなかった.现在は解析 技術の高度化，インターネットの普及等により.質の高い 情報を高い精度で速やかに人手できるようになり，当時よ り仮説を絞り易くなっている.しかし，触媒反応には多く の因子が介在し，近年は実用化までの難容度も高くなって おり，今でも集めた情報を選別して使いこなす力が重要で あるように感じている.