絶縁層を用いたダイヤモンド粒子伝導帯への電子注入機構

摘要

ダイヤモンドはワイドギャップ半導体であり，その表面の負の電子親和力特性（NEA）を利用した高効率電子放出素子を実現するうえで，電極からダイヤモンドの伝導帯への電子注入が問題となる。 この電子注入を含む電界電子放出の機構を解明するうえで，紫外光電子分光（UPS）や電界放射電子分光（FES）のエネルギー分光法を併せて用いることは有効な手段の一つである。これまでの金属基板上に配置したダイヤモンド粒子からの電界電子放出特性の研究から，配置した粒子の中でも特に低電界で電子を放出する粒子（hot-spot）が存在し，そのFES測定からhot-spotでは金属基板／ダイヤモンド粒子界面に，例えば絶縁層のように電圧降下を起こす領域が存在することが示唆された。 本報告では，電極とダイヤモンド粒子の界面に意図的に絶縁層を形成した場合，そのダイヤモンド粒子からの電界電子放出機構について議論する。