難削材の切削加工：II.切削加工技術の動向－3.難削材の加工性改善 (2)工具鋼 その2

摘要

金型製造業がグローバルな競争にさらされて金型価格半分、納期半分とも言われる最近では、高度成長、バブル期の性能重視の工具鋼開発から被削性重視の開発へ重点が移ってきている。 機械部品用の鉄鋼材料では、快削鋼の開発と製造技術が発展し、その成果が1984年の日本鉄鋼協会西山記念技術講座にまとめられている。 その後の工作機械、切削工具が高速切削技術を主体に大きく発展した。 これに連動した鋼の被削性研究の近況がまとめられている。 鋼の被削性に及ぼす冶金学的因子について、1971年に荒木がまとめた技術資料があり、1.合金鋼の熱処理組織2.被削性に有害な硬質介在物3.工具表面に堆積して被削性を向上させる(Belag)鋼中酸化物4.硫化物を主体とする快削元素添加の効果が挙げられている。