衛星通信においては電力効率の良い非線形増幅器が使用されるため,その伝送速度高速化を考えるとき,振幅変動の激しいOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を適用することは困難である.そこで,一次変調にOFDM方式,二次変調としてFM(Frequency Modulation)を用いて定包絡線信号を生成するOFDM/FM方式の衛星通信への適用について検討する.本研究では,複素OFDM信号をFMに入力する際に,実数信号に変換する方法として直交変調及びエルミート対称法を用いる.加えて,FMにおける周波数偏移を有効に利用するために,周波数変調するOFDM信号を非線形変換する手法としてクリッピングとコンパンディングを適用する.OFDM/FM方式の計算機シミュレーションによるBER(Bit Error Rate)特性評価を通して,有効な実数変換法及び非線形変換法の組合せについて検討した.特性評価により,同一サブキャリア数を用いた場合,BER=10~(-5)において,エルミート対称法により直交変調に対して10dB,クリッピングによりコンパンディングに対して10dBそれぞれ所要CNR(Carrier-to-Noise power Ratio)の改善が得られたため,OFDM/FM方式にはエルミート対称法とクリッピングの適用が有効であることが分かった.
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