東京大学原子力専攻（専門職大学院）の概要

摘要

東京大学大学院工学系研究科原子力専攻は，2005年4月に，日本で唯一の原子力分野の専門職大学院として，東海地区に設置された。すでに213名の修了者を輩出し，卒業生は各分野で活躍している。入学者の多くは，原子力の関係分野で勤務している社会人である。しかしながら，新卒学生や，原子力を知りたいという関連のない分野などからの入学もある。本専攻の標準修業年限は1年間であり，修士論文研究はない。必修科目を含む30単位以上を修了することにより，原子力修士（専門職）の学位が与えられる。さらに，設定されている科目を所定の成績で履修した修了者は，日本の原子力に関する主要な資格である，原子炉主任技術者，核燃料取扱主任者の試験の一部が免除されることになる。本専攻の運営には，専任教員ばかりでなく，日本原子力研究開発機構をはじめとして，多くの関係機関からのご援助をいただいている。このように，日本における通常の工学系大学院修士課程と異なることから，日ごろ専門職大学院について様々なご質問を受ける。この原稿執筆の機会を頂戴したので，本専攻の概要について紹介する。