自主的·継続的安全向上に必要なこと：リスク管理とリスク評価と安全目標

摘要

原子力基本法には“原子力利用は安全確保を旨とする”と謳われている。“安全確保を旨とする”は，安全確保を大前提とするということではなく，安全を何よりも尊重することと解釈するべきである。IAEAは安全文化について，“原子力の安全問題に，その重要性にふさわしい注意が必ず最優先で払われるようにするために，組織と個人が備えるべき統合された認識や気質であり，態度である”と定める。原子力基本法は，安全文化の理解と尊重，それが自然のこととしてなされる状態を求めているのであろう。成熟した安全文化がなければ原子力利用の資格はないということである。原子力利用にあたって，安全確保が何より大切であることは疑うべくもないが，それを大前提あるいは絶対的な必要条件と理解したところにこの問題の根源があると思う。福島第一事故から学hだ教訓は，原子力安全の問題に生かされているのかを考えてみたい。