小麦粉食品を対象とした品質向上技術の展開：1．食品素材·添加物の利用－1.1 パン·めh用小麦粉の利用方法

摘要

1年間の日本の小麦消費量は約630万トンで，その約86％が輸入されている．国別の輸入割合はアメリカ約56％，カナダ約20％，オーストラリア約24％となっている．それぞれの国からパン用，めh用，菓子用に適した小麦を日本は輸入し，小麦粉に加工している．表1に，現在日本で使用される主な小麦と用途を示した．パン用小麦粉には主として1CW，DNS，HRWが用いられ，めh用小麦粉には主としてASW，菓子や天ぷら用の小麦粉には主としてWWが用いられる．これらの名称は，小麦の品種名ではなく，銘柄と呼ばれるものである．銘柄は，一定の地域で生産され，特有の品質をもつ品種の小麦につけられる商品名である．たとえば，「カナダ·ウェスタン·レッド·スプリング」という銘柄は，カナダ西部地区で生産され，品質が一定レベル以上のいくつかの小麦品種が混ざったものである．