ねじりモーメントを受ける中空軸テーパラップ接着継手の弾塑性有限要素解析と強度予測

摘要

動力伝達軸の継手構造としては主に，キーとキー溝で取り付けたフランジをボルト·ナットで締結する機械的方法が挙げられる．この方法は，継手強度に対して十分な信頼性が得られる反面，フランジ自体の自重や容積が増加する，異種材料の軸の場合は結合が困難である，また，軸端部にキー溝を加工することで応力集中が発生するなどの欠点もある．これに対し，二つの軸の端部をそれぞれ凹形·凸形にテーパ加工し，テーパ面に接着剤を塗布し互いにはめ合わせ接合する継手構造，すなわちテーパラップ継手とすれば，継手部の小型軽量化や異種材料の軸の結合が可能となり，さらに，テーパ角度を精度よく加工すれば，軸心の調整が容易になるなど多くの利点が期待できる．これまで，ねじりモーメント，曲げモーメントまたは引張荷重を受ける接着軸継手の応力分布や強度に対し，多くの解析的および実験的研究が報告されている．しかし，解析においてはほとhどが弾性を仮定しており，軸や接着剤の弾塑性特性を考慮した継手強度の検討は少ない．そこで本研究では，軽量化を考慮し軸そのものも中空軸としたテーパラップ接着継手を対象とし，動力伝達用の軸継手に対し主たる荷重であるねじりモーメントが作用した場合の継手強度を実験的に測定した．一方，解析においては接着剤と中空軸の弾塑性特性を考慮し，有限要素法を用いてねじりモーメントが作用する中空軸テーパラップ接着継手の応力分布を求め，さらに，この応力分布に基づいた軸継手のねじり強度予測法を提案し，実験で求めた強度試験結果と比較検討した．