パルスデトネーションエンジンの研究－液体燃料パルスデトネーションエンジンの推力特性

摘要

パルスデトネーションエンジン(Pulse Detonation Engine：PDE)は燃焼行程をデトネーションで行う内燃機関であり，初期圧縮比を小さくしても比較的高い熱効率が期待できる．PDEは燃焼室（デトネーション管）と混合気供給部および点火装置から構成され，爆発性混合気の燃焼室への導入（1），デトネーションの起爆（2），デトネーションの伝播および排気（3），空気等の不活性気体による掃気（4），および爆発性混合気の導入（1）の傾でサイクルを繰り返す．デトネーションによって生じる高温高圧の既燃ガスを排気することにより，PDEはその反作用で推力を得る．また高温高圧の既燃ガスが持つエネルギをタービンで回収することにより，軸動力を得ることも可能である．PDEは燃焼行程を自己圧縮作用のあるデトネーションで行うため，初期圧縮なしでもサイクルが成立し，ある程度の熱効率を維持しながら出力を得ることができる．すなわちPDEの使用目的次第では圧縮機が不要となり，システム全体を大幅に簡素化することが可能である．また既存のガスタービン機関と同等の熱効率を得るためには，デトネーションの自己圧縮作用のため，PDEに必要な初期圧縮比は従来のガスタービン機関に比べて小さくすることができる．本稿では，まず液体燃料PDE実験装置および実験方法のやや詳しい説明をする．続いて常温常圧での10Hz単パルス運転では，気体燃料の場合と同様の推力特性が得られたことを示す．