パルスデトネーションエンジンの研究－パルスデトネーションロケットと部分充填効果による推力増大法

摘要

デトネーション波を間欠的に発生させて，推力や仕事を獲得するパルスデトネーションエンジン(Pulse Detonation Engine，以下PDE）の研究開発が日本，米国，欧州で行われている．PDEでは自走するデトネーション波が未燃ガスを圧縮するため，コンプレッサー·ポンプといった機構を用いることなく，またはそれらの負荷を低減させて，推力や仕事を取り出すことができ，エンジン構造の単純化およびその結果としての製造コストの削減が期待できる．PDEの応用先として，ロケットエンジン，空気吸い込み式ジェットエンジン，発電用エンジンがある．PDEを用いたロケットはパルスデトネーションロケット（Pulse Detonation Rocket，以下PDR），また，そのエンジンはパルスデトネーションロケットエンジン（Pulse Detonation Rocket Engine，以下PDRE）と呼ばれている．デトネーションの開始装置や燃料供給バルブの問題を除外することができれば，PDREを搭載したPDRの製作は困難ではない．本文の後半では，燃料にはデトネーションの開始が容易なエチレンを用い，バルブには大流量用の電磁バルブを用いたPDRの推力実証試験の様子を紹介する．