飲料製造技術と品貭保証技術：ボトリング工程と滅菌－過酸化水素(H{sub}2O{sub}2)滅菌工程における温湿度管理

摘要

過酸化水素蒸気滅菌方式は，酸化エチレンガス滅菌やホルマリンガス滅菌と比べ人体や周辺環境への悪影響が少ない滅菌方式として，食品·飲料工場のボトリング工程など幅広い分野で採用されている。これは，過酸化水素水を気化させ，プロセスチャンバー内の製品を滅菌するもので，水以外に残留物が生じず，環境にやさしいのがメリットだ。 さて，過酸化水素滅菌装置内で滅菌を行う場合，装置内での結露の発生防止や，過酸化水素濃度の安定化に気を配る必要がある。もし装置内温度が露点を下回った場合，H{sub}2O{sub}2水蒸気が装置内の壁面等に結露し，H{sub}2O{sub}2の気中濃度が低下して十分な滅菌ができないという危険性がある。 そのため，滅菌工程中の温度·相対湿度の把握と安定化が重要になるのだが，残念ながら過酸化水素雰囲気中では湿度センサの劣化が著しいため，滅菌工程中の湿度計測は今までほとhど行なわれてこなかった。 しかし，HACCPやISO22000の浸透，消費者の「食の安全」に対するニーズの高まり，そして，食品メーカーの品質管理·衛生管理が大きな話題となっている現在，滅菌工程の管理も「難しいからやらない」では済まされなくなってきた。 そこで，ヨーロッパの大手ボトリング工場と協力し，この度新たに完成したのが，今回紹介する過酸化水素保護フィルタ(G8)と混合露点演算機能付温湿度変換器Hygrotest650（ディスプレイタイプH8）である。 以下，過酸化水素滅菌プロセスにおける温湿度管理について例を挙げるとともに，これまで湿度センサにとって厳しい使用環境とされてきた過酸化水素雰囲気中における長期間の湿度計測が，いかにして可能となったかを解説する。