垂直スパイラル型地中熱交換器を用いた浅層地中熱ヒートポンプシステムの設計·性能予測ツールの開発とその応用

摘要

近年、再生可能エネルギーの開発と導入が進められている我が国では、地中熱ヒートポンプ(Ground Source Heat Pump: 以下GSHP とする)システムがその一つとして注目されているが、地中熱交換器の設置コストをはじめとした導入コストの高さが未だに大きな課題となっている。その設置コスト削減の方法の一つとして、垂直スパイラル型地中熱交換器(Vertical Spiral Ground Heat Exchanger: 以下VSGHEX)の導入が注目されている。VSGHEX は、一般的なGSHP システムで使用している地盤よりも浅い地盤を利用し、配電工事用の建柱車を用いたGHEXの設置が可能であるため、通常のボアホール型GHEXと比べコストの削減が期待できる。また、ボアホール型GHEX よりも口径が大きく深度あたりのパイプ全長が大きいため、深度あたりの採放熱量を増やすことができる。さらには、内部熱容量が大きく、短時間の採放熱量が増大するため、瞬時の大きな負荷への対応が可能となる。しかしながら、VSGHEX の最適仕様や導入可能性の検討がなされていないのが現状である。そこで本研究では、VSGHEX の計算モデルを開発し、GSHP システム設計·性能予測ツールへの導入を行った。そして、VSGHEX のスパイラル口径やスパイラル全長などの仕様条件を検討した。さらに、経済性を考慮したVSGHEX の導入可能性の検討を行った。