業務用エアコンの年間エネルギー消費量の評価に関する研究（GHPの場合）第１報：部分負荷性能試験の結果に基づく省エネ性の評価

摘要

近年，オフィスビルや戸建て店舗などの業務用建物にパッケージエアコンやビル用マルチエアコンが多く用いられるようになってきており，こうした空調機の省エネ性向上が強く求められている．このような背景のもと，著者らはエアコンの期間エネルギー消費量予測の高精度化を目的として，主にビル用マルチエアコンについて，室内空調負荷と外気温度を任意に設定できる実験設備を用いた部分負荷性能試験を実施し，その詳細な部分負荷性能特性と期間エネルギー消費量の算定手法について検討してきた[1,2]．また，各種戸建て店舗の空調負荷を実測し，期間エネルギー消費量の算定に不可欠な建物の負荷特性についても明らかにしてきた[3,4]．本研究では，エアコンのエネルギー消費に関するこれらの研究の一環として，最新式の高効率型ガスヒートポンプ（GHP）式ビル用マルチエアコンについて，冷房37条件，暖房31条件の部分負荷性能試験を行った．本報告では，性能試験で得られた詳細なCOP特性を明らかにするとともに，これらの試験結果と戸建て店舗の実測空調負荷モデルに基づきエアコンの通年エネルギー消費量を算出し，実際の省エネ性について検討した．