熱回路網法による凍結プロセスの高速予測技術の検討

摘要

設計の効率化や低コスト化の達成が分野を問わず重要な課題であり，特に即応性と正確性が両立でき，現場で簡易に運用できる設計手法が重要となっている．熱機器の設計においては，内部の伝熱や流体流動を的確に見積もることが重要となり，そのための熱設計技術の開発と運用が課題となっている。著者らは岩手の地場産業である三陸の水産業に焦点を当て，水産加工品の競争力強化のための凍結·解凍過程の最適化に資することのできる簡易熱設計法の確立を目指し研究を行っている [1]．これまでは水産品の凍結プロセスを予測するための有限差分法による2 次元熱伝導解析プログラムを，表計算ソフトのワークシートに構築することで，市販PC 上での凍結プロセスの予測を実現した．しかし2 次元の有限差分法では熱伝導現象の3 次元性を再現するのは困難であり，また計算負荷が思いのほか高く，より簡易に凍結予測が可能な技術の検討が必要となった [2]．そこで本研究では，電子機器の熱設計分野において広く伝熱予測に用いられる熱回路網法 [3] - [5] を用い，現象の3 次元性を考慮した凍結予測プログラムの構築を試みた．解析を通じ，熱回路網法の有効性を評価し，また実際の凍結現象の予測に重要となる評価因子の分析を行ったので，その結果を報告する．