実使用環境を考慮した油圧用フィルター試験法～油圧用フィルターの実装置での実力を見極めるには

摘要

近年の油圧装置は高効率化、小型化·高圧化の要求から、精密化が進hでおり、それに伴い油圧作動油中の異物の影響をより受けやすくなっている。油圧作動油が固形異物で汚染されると、油圧機器部品の磨耗促進やバルブの固着、油圧作動油の劣化が起こる。結果として油圧機器の故障頻度が高くなり、油圧装置の制御能力も低下し、油圧システムの信頼性や効率が低下する。安定した油圧装置の効率維持と機器寿命の延長のためには、油圧作動油の清浄度を適正に管理することが不可欠であり、適正な清浄度を達成できる油圧用フィルターを使用することが重要である。油圧用フィルターの除粒子性能は従来からマルチパステスト法で評価されているが、マルチパステスト法で同じ除粒子性能を示すフィルターでも、フィルターメーカーが異なると油圧装置運転時の油圧作動油の清浄度に違いがみられることがよくある。これは、油圧用フィルターのマルチパステスト（除粒子性能）試験条件と実使用条件の違いに起因する。本稿では、一般的な油圧用フィルターの除粒子性能評価試験法であるマルチパステスト法の限界、および実使用条件を考慮した新たな油圧用フィルターの除粒子性能評価法について説明し、油圧用フィルターの真の実力を見極める方法を紹介する。