自動車づくりを支える部品技術：第2回 軽量化のための技術－事例1－40％の電気低減を果たした電気自動車向けインホイールモータ

摘要

EVの駆動系レイアウトにはさまざまな形式が考えられているが，パワートレイン（変速機や駆動シャフト，差動装置など）を廃止できるEVの利点を最大限生かしたインホイールモータ方式は，ボディ内の空間が限られている小型車において最大の空間効率が得られる形式と考えられている。しかしながら，モータなど質量が大きい部品をばね下に組み込まなければならない本方式では，極端なばね下質量の増加により路面変位に対してばね下が大きく振動し，それに伴ってタイヤが大きな変位を繰り返すので，接地荷重が変動してタイヤ性能が影響を受ける。 このようにインホイールモータ方式は，ばね下質量が大きいため，モータ車載方式と比較してばね下共振の荷重変動が大きくなり，乗り心地やロードホールディングの悪化が予測される。 当社にて開発中の“ブリヂストン·ダイナミックダンパータイプ·インホイール·モータシステム”には，ばね下振動を減衰させることにより，①不快なばね下のバタバタ感を低減し，乗り心地向上，②タイヤの上下荷重移動量を減少させ，ロードホールディング向上，などの効果がある。