人とくるまのテクノロジー展に見る自動車要素技術の最新動向

摘要

ホンダは「気筒停止エンジン対応ハイブリッドNV制御技術の開発」で技術開発賞を受賞したが，その技術の1つに「アクティブコントロールエンジンマウント技術」（図1）がある．同社のV6 3.0 li-VTECエンジンでは，低出力時は片側3気筒のみを作動させて低燃費走行を行うが，3気筒のみが燃焼エネルギを発生するため振動が増大する．この振動をクランク回転変動から推定して，打ち消すように作動するのがこの技術である．マウント下部に内蔵した加振板を，エンジンの振動に同位相·同周期で振動させることで，フロント·リアエンジンマウントの振動を吸収する．車体振動と車内のこもり音を効果的に低減するため，気筒休止状態にあることを感じさせない防振性能を実現している．V6エンジンを搭載するタイプのインスパイア，エリシオンに採用された．「電気式能動制御エンジンマウント」は東海ゴム工業が提供し，またクランク回転変動を用いた「振動推定フィードフォワード制御」はホンダが開発を行った．そのほか，負圧のない車両にも適用できる，幅広い周波数(30～100Hz)を制御できるといった特徴がある。