第2特集 加工現場の安全管理対策を見直す－設計者の安全の説明責任と労働安全

摘要

労働安全の第一義的責任は専業者にあるというのは万国共通である．しかし，機械の取り巻く環境は大きく変化しており，安全の技術上の責任まで専業者に負わせても限界は明らかである．工業先進国のほとhどが，労働者が使用する機械に製造物責任（PL）を適用しており，もちろh，わが国あ例外ではない．国際規格ISO12100（機械類の安全性，基本概念，設計のための一般原則）で基本が示されているように，機械安全の国際規格体系は，製造物責任（PL）をさらに進めて，製造物責任予防（PLP）の立場から，安全確保の責任を優先的に設計者に課すと共に，設計者によって達成可能な安全の限界を使用者に説明する責任を課している．その説明を受けて事業者は，労働安全マネジメントの活動の中で，残留リスクに対して安全な作業を改めて計画し，例えばPDCA (Plan/Do/Check/Action)を採用した教育訓練を実施する．このように，労働安全の責任の内，機械の安全（設計安全）を設計者に委ねて，専業者は作業に伴う事故の防止に専念できることになる．これが，労働安全の体系である．