通電警告装置を用いた歩行中の視覚障害者が実際に制止可能な接近者の上限速度の検討

摘要

近年、スマホ歩きをする人が増加し、他人に衝突することがある。視覚障害者が駅のホームで彼らの衝突に備える方法として、雑踏の中で人の急接近を知覚する方法として、人の接近を赤外線センサー等用いて検知し、警告方法に皮膚への通電を行う装置を開発した。本研究の目的は、模擬駅ステーションのプラットフォーム環境にて電気刺激警報装置を使用させ、歩行中の人との衝突を回避するための接近者の速度の上限値を明らかにすることであった。対象と方法は、全盲者もしくはアイマスクを用いて視覚を遮断した弱視者18名に対し、5mの歩行路を白杖により歩行するよう指示し、ランダムに人が接近する状況を設定した。装置のONOFFもランダムに設定したうえで、人接近の認識の可否を調べ、接近する人の速度を算出し、装置の反応速度に加え、警告を受けてから、制止するまでの時間 および、直前の速度を求めた。通電警告装置が機能する、接近する人の速度の平均値にもとづく、可能上限速度を調ベた。結果、装置使用者がおよそ0.9m/秒で歩行し、接近者がおよそ1.3m/秒の速度で近づく条件で、本装置の通電アラートは使用者への人接近情報を伝達し、使用者も自ら制止可能であった。