時空間共有コミュニティシステムにおける情報伝搬特性の検討

摘要

近年，インターネットの爆発的な普及と共に，様々なコミュニティサイトが運営され，最近では社会現象にもなった「mixi」や「twitter」などのコミュニティサイトが非常に普及しており，多数のインターネットユーザが利用している．しかし，これらのコミュニティサイトでは，日記や掲示板などのサービスをユーザに提供しているが，ほとhどテキストによる記事のためコミュニケーションが限られて情報が断片的になり易く，メンバ間の密なコミュニケーションが取り難いという問題点がある．本論文では，上記の問題点を解決するため先に提案した時空間共有システムに関し，日記や掲示板などのユーザ間の情報伝播特性を検討している．具体的には，この時空間共有システムをユーザに1年間実際に使用してもらってコミュニケーション支援実験を行い，この実験データからクラスタ係数や結合性，中心性，密度などの指標を用いてネットワーク特性の評価を行った．この結果，本システムに参加したメンバは35人と限られてはいるもののクラスタ係数や結合性が非常に高く，時空間共有システムはmixiなど他のSNSに比べユーザ同士を結びつけ，密な関係性を構築するのに有効な手段であることが裏付けられた．また、サービス開始当初は加入条件を招待制のみとしたため顔見知りのメンバ中心のコミュニティであったが，登録制を追加して新規に加入するメンバの特性を分析した結果，それぞれ約1ヶ月ほどで各コミュニティに溶け込み上記のクラスタ係数や結合性などの値も1に近づく傾向が確認でき，メンバ間の関係性の向上に役立ったことが明確になった．