バーチャルリアリティ環境における臨（隣）人感の事象関連電位による評価

摘要

本研究ではバーチャル·リアリティ（VR）空間に提示される他者をそばにいると感じる程度（臨（隣）人感）について，社会的サイモン課題遂行時の事象関連電位によって計測した。被験者は，ヘッドマウントディスプレイを通じてVR空間を観察し，画面の右または左に呈示される2種類の色の刺激のうち，あらかじめ決められた色の刺激に対してできるだけ速く，反応キーを押すよう求められた。実験条件として単独でこの課題を行う単独条件と，画面左側に実験協力者の頭部運動に同期して動くアバターを表示し，実験協力者が他の色年対して反応を行う（と教示する）する共同条件を設けた。さらに，共同条件では，課題前にVR空間内で他者とコミュニケーションを取らせる被験者群と，コミュニケーションをとらせない被験者条件群を設けた。その結果，他者の存在が十分に認識できたと考えられる，前者の条件でのみ，社会的サイモン効果とそれに伴う特徴的な事象関連電位が現れることが示された。