人工視覚デバイスに向けたパルス周波数変調方式低電圧ビジョンチップ

摘要

容量帰還リセット型パルス周波数変調方式(PFM: Pulse Frequency Modulation)フォトセンサと，パルス領域ディジタル画像処理を組み合わせたビジョンチップについて報告する．PFMフォトセンサは，入射光量を対応する周波数をもつディジタルパルス列に変換する．本ビジョンチップは，低電圧駆動による低消費電力化と広いダイナミックレンジの両立を目標としており，応用例として，電力供給が限られている人工視覚デバイスへの応用を狙っている．画素回路は，PFMフォトセンサと1ビットディジタル画像処理回路から構成され，これらはダイナミックメモリを介して接続されている．画像処理回路は，自画素と周辺4近傍画素からの出力パルスを相互作用させることで画像フィルタリング処理を実現する．フィルタリング処理における重み係数は，画像処理回路の前に設けたパルスゲートにより，周辺画素からのパルスをとりこむ割合を制御することで設定できる．0.35－μm標準CMOSプロセスを用いて，4近傍画像処理が実行可能な32×32画素ビジョンチッププロトタイプを試作した．画素サイズは100μm角とした．低電源電圧1.25Vに対し，フレームレート26kfpS動作時に，ぼかし，エッジ強調，エッジ抽出の効果を確認することができた．また，電源電圧に対するビジョンチップの特性を測定した．