BFを用いたフロー同定によるP2Pパケットキャッシュ効率の改善手法

摘要

ISP間におけるP2Pトラヒック量の増大に伴い，様々なトラヒック抑制手法が提案されている．我々は，ルータ上にバイト（パケット）レベルのデータキャッシュを用いて，P2Pトラヒックに含まれる冗長性を除去するトラヒックの抑制方法を提案した．しかし，我々の提案手法では，効率良く冗長性を除去するために，キャッシュヒット率を高めるためには，多量のキャッシュメモリが必要となるという制限があった．一般に，トラヒック量の増大によるスケーラビリデイを確保するためには，キャッシュのメモリ消費を抑えることが望ましい．本稿では，キャッシュの高いヒット率は維持したまま，冗長性を除去する効率を大きく低下することなく，キャッシュメモリ消費を削減する手法を提案する．今回我々が提案する手法では，同一データを転送する複数のフローをBloom Filterを用いて同定し，高いキャッシュヒット率を実現するための選択的なキャッシュを行う．あるISPにお止るP2Pトラヒックログの解析によると，本提案手法は，従来手法と比較してトラヒックの抑制効率は約20-25％低減するが，メモリ消費を従来手法の約85％以上削減し，データキャッシュヒット率を約15％以上（35％から50％へ）向上する．