反響雑音推定を伴うスパース信号分解による音声からのショット雑音抑圧

摘要

研究では，スパース信号分解によるショット雑音（突発性雑音）除去法を提案している．提案法は，ショット雑音の持続時間が，音声を定常的と見なすことができる時間よりも短いことを仮定し，信号分離を実現している．持続時間の違いから，ショット雑音は短いフレーム長のDFT基底系で，また，音声は長いフレーム長のDFT基底系でスパースな展開係数を持つ．そこで，入力信号に対して長さの異なる2つのブロックDf、T基底系への分解に，Ba5isPursuitを適用し，信号分離を実現している.しかしながら，残響（反響）環境下では，ショット雑音の残響は，信号分離で仮定したショット雑音の持続時間を越えるために，分離後の音声信号に混入する．この残響成分を抑圧するために，分離後の雑音を示すDFT展開係数の振幅分布から，分離後の音声信号に現れる雑音残響のパワーを推定し，スペクトル減算絵により抑圧する方法を提案する．残響を伴うショット雑音が重畳した音声に提案法を適用した結果，セグメンタルSNRによる評価で，ショット雑音によって劣化した音声区間のSNRを7dBから10dB向上させることができた．