電力自由化とITで変わる電力供給システム－電力会社からみた電力自由化の現状－取引市場を中心にして

摘要

欧米における電力市場のプレーヤは，事業の選択と集中，金融工学を駆使し，リスクを回避しながら自らの利益が最大となるように行動している．特に，上流（1次エネルギーの開発）を含むエネルギー事業のコンバージェンスが進展している．しかし，自由化の成功事例と言われるPJM市場では，種々のルール変更を経て供給力確保やエネルギー市場における発電機出力配分や価格形成は，現状の日本の仕組みとほぼ同じものとなっている．この結果を見ると，既存の電力供給システムを前提として系統の安定運用と経済性を両立させる方式として日本の方式も再評価できる可能性がある．