行政手続き 第6回 民法改正（相続関係）について～2022年春に施行予定の相続分野の見直し（約40年振り）

摘要

わが国での現在深刻な高齢化社会の急速な進展により，夫婦いずれかの死亡により残された配偶者（夫または妻）が自宅で引き続き生活する場合に，仮に同居しない子供がいるとすると，その自宅（居住用の土地建物）は配偶者とその子供で遺産分割の対象になる．つまり，被相続人（亡くなった人）に自宅以外に換金性のある現金預金や株式などの財産がない場合に，はかの資産がなければ，それまで自宅に同居していた配偶者が，同じく相続人である子供との遺産分割を原因として（現代に多い核家族の場合，配偶者と子供の相続分は各2分の1となる）自宅の売却による換金により退去せざるを得ない事態が予測されるであろう．そこで，「遺産分割における配偶者保護」の観点から，配偶者保護のために民法改正案が検討されることになった．つまり，遺産分割で配偶者の優遇を図れるよう，配偶者が相続開始時に居住していた自宅に住み続ける権利を新設した．