頭部外傷後遅発性に橋前槽に出血を呈した血友病患者の1例

摘要

I.経験症例〈患者〉53歳男性既往歴および家族歴血友病Aを中学生時に指摘されているが，これまで未治療であった.血 友病Aについての家族歴は認めなかった.現病歴ドアを開けようとしたところ，ドアノ プが引き抜けて後方に転倒して後頭部を打撲した ため，救急外来を受診した.来院時は意識清明 で，明らかな神経学的所見は認めなかった.受傷 後80分経過した時点の頭部CTでは頭蓋内病変 を認めず，挫創処置のみで帰宅となった（Fig. 1A).この時点では血友病の病歴は聴取できてい なかった.