次世代自動車の市場動向

摘要

2009年に3代目のプリウスが市場投入で注目を集め，ガソリン価格の高騰と比例するようにHEVの需要が一気に加速し，2012年には震災の反動とトヨタ自動車の「アクア」が発売され市場は大きく膨れ上がることとなる。EVの日産自動車「リーフ」が市販されて電動駆動車は各種メディアでも注目の的となり，電動駆動車に環境対応の可能性を見出していた。とはいえ，HEVは仕向け先として当初に最大のマーケットと想定した米国市場では，日系自動車メーカーが先行し過ぎたことにより米系自動車メーカーが方向転換したこと，環境規制よりも購入者に直接的なメリットとなる燃料価格の安さが元来ガソリン価格の安価なマーケットの顧客には響かなかったこと等の理由から低迷が続いている。欧州の自動車メーカーも同様にHEVは後発参入のため積極的ではなく，ディーゼル車が50％弱を占める市場ではガソリンHEVはメインストリームにはなり得なかった。中国市場も，HEVに対する補助金制度はない上，大型車が好まれる市場特性からボリュームゾーンであるHEVコンパクトカーでの低燃費性をPR材料とするHEVは殆ど定着せず，日本市場のみが活況する状況となった。EVはオランダやスウェーデンなどの環境政策が奏功し，好調な販売となったものの自動車販売全体から見ると僅少といわざるを得ない。米国ではカリフォルニア州をはじめ一部の州に限られ，これも僅かな販売量に留まっている。中国では官主導でEVやPHEVを推進することで，2013年頃から販売台数は前年の3倍のペースで増加しているものの中国の自動車業界にインパクトを与えるほどの販売実績に到っておらず，低空飛行が続いているのが実情である。