廃棄物溶融炉用クロムフリーキャスタブル

摘要

近年，産業廃棄物および都市ごみの発生量は増加の一途をたどっており，環境問題が大きくクローズアップされる時代となっている。 それに伴い，産業廃棄物および都市ごみの減容と無害化は重要な社会的課題となっている。 近年，膨大な廃棄物処理の方策の一つとして，溶融法が注目されている。 溶融炉は，国内では約30年前に始めて設置され，最初の十数年は新設が少なく，1990年代に入って徐々に増え始め，2002年頃に約50基/年のピークに達している。 溶融炉は大きく2通りに分けることができる。 一つ目はストーカー炉等の焼却施設で発生する廃棄物の焼却灰や飛灰を溶融してスラグ化させる灰溶融法で，二つ目は廃棄物を直接溶融してスラグ化させるガス化溶融炉である。 溶融炉の種類として，表面溶融炉，コークスベッド炉，アーク炉，電気抵抗炉，直流炉，プラズマ炉，ガス化溶融炉（キルン型，流動床型），直接溶融炉等各種形式のものがある。 溶融炉に使用される耐火物は，部位によって異なるが，溶融スラグに接する部分には高級な耐火物が使用されている。 溶融スラグはNa_2O·K_2O等のアルカリ，Cl·SO_3等の酸を含み，塩基度（CaO/SiO_2）が0.3～1.5という低い値であり，1300～1800°Cの高温で処理されるので損傷作用が激しい。溶融炉の炉内雰囲気に応じて，還元雰囲気ではSiC等の非酸化物系耐火物を使用し，酸化雰囲気ではCr_2O_3を含む酸化物系耐火物が使用されている。 炉の形式あるいは運転条件によっては，特殊なCr_2O_3系耐火物でなければ充分な耐用が得られない。 但し，Cr_2O_3はアルカリ共存下あるいは酸素分圧の高い雰囲気下ではCrO_3すなわち六価クロムを生成する。