不定形耐火物と粉体工学（その6）/第2章 不定形耐火物のコロイド科学 基礎編1

摘要

建設分野でほ，高強度·高流動コンクリートの実用化あるいはコンクリートの耐久性確保の観点から単位水量に規制値が設けられ，作業性を確保しつつ単位水量を減少させるため，より減水性が優れ，流動性の経時変化の少ない高性能な分散剤が必要となっている。 また，それに関連してセメントや微粒子と高分子系分散剤の相互作用が重要な課題となっている。 これに比べて，不定形耐火物の主要材料であるアルミナセメントや超微粒子とこれら高分子系分散剤との相互作用については十分な検討がなされているとは言い経い。 しかし，建設分野で使用されているセメント系材料と分散剤で得られている知見は十分不定形耐火物を構成する材料の分散性を理解する上にも役立つはずである。 ここでは，建設分野で得られているセメント系粒子と分散剤の相互作用に関連する筆者らの研究を中心にして，不定形耐火物の流動性を考える上で必要と思われるコロイド科学，分散·凝集に関連した基本的な事項を概説する。