不定形耐火物と粉体工学（その7）第2章 不定形耐火物のコロイド科学 基礎編2

摘要

建設分野で得られている知見を中心に分散剤の作用や吸着現象を考えるためのコロイド科学に関連する基礎的事項について概説した。 アルミナセメントを用いた研究はほとhどなされていないが，ほぼ同様の理論で理解できるものと思われる。 なお，粒子の分散·凝集現象について，ここでは同種の粒子で粒子径が等しい系について説明した。 しかし，実際の不定形耐火物は大きさや表面電位も異なる粒子が存在する複雑な分散系であるので，ヘテロ凝集などを考慮したさらに詳細な検討も望まれる。 また，不定形耐火物における初期水和については，十分な検討がなされている訳ではなく，初期水和制御と云う観点からのデータ蓄積も望まれる。 さらに，実際に不定形耐火物の流動性を考える場合には，骨材まで含めた粘度構成が重要であり，骨材を考慮しない場合も粒子構成は重要であり，粒子形状，粒径や粧度分布を制御することによる充填性の向上などは流動性制御の観点から重要である。 実用的には，いろいろな大きさの構成材料からなる不定形耐火物であり，その流動性や成形性は複雑であり，粒子間の作用する力だけから全てが議論できる訳ではないが，本講座が，流動性を理解し，これらのいろいろな問題を解決するための一助になれば幸いである。 なお，最後に不定形耐火物の分野において，コンクリートの配合設計手法を何故，採用しないのか少し不思議である。