資源循環型社会構築に貢献するセメント製造技術

摘要

日本のセメント産業は，F2010年度までに廃棄物の使用原単位を400kg/tに増加させる』という努力目標を設定し，循環型社会の構築に向け廃棄物活用の取り組みを強化している。 今後更に各種の廃棄物を活用していくためには，塩素のみならず硫黄，重金属のセメントプロセスでの安定処理技術をレベルアップする必要がある。 その意味で，本稿で紹介した塩素バイパス設備で抽出した高塩素パウダーの水洗脱塩·塩回収技術とコーチング付着防止システム（TCS-システム）がひとつの方向性を示していると思われる。 セメント工場を中核とした廃棄物処理技術はこれまでにセメント工場内での無害化処理（灰水洗），廃棄物を使用し新しい機能を持つセメント製造技術（エコセメント）が確立されているが，これ以外にも，新たな視点でセメント工場内外での無害化処理による資源化及びセメントとは異なる製品の製造を前提とした廃棄物処理等が考えられる。 当社では環境保全に対する社会の要請に応えつつ積極的に環境ビジネスを推進するため，これら技術の発展に力を注ぐつもりである。