ガラス融液の構造と物性

摘要

ガラスとは.粘性の高い液体を冷却したとき，液体と同様のランダムな構造のまま固まった固体である。本稿で解説するガラス融液とは，ガラスとなる物質がガラス転移温度より上の温度のときの液体のことである。ガラスは液体と同じように様々な元素を様々な割合で溶け込ませ，それにより種々の性質を連続的に変化させることが可能なため.実用化されているガラス組成はレンズなどの光学ガラスや電子部品用の封着?接着ガラスを含めると1,000種類を超えている。しかしその中で大量生産されているのは，窓ガラス.瓶ガラス，ガラス食器などに使われているNa_2O-CaO-SiO_2系のソーダ石灰ガラス，注射器，アンプル，理化学機器，照明器具などに使われているNa_2O-B_2O_3SiO_2系のホウケイ酸ガラス，液晶デイスプレイ基板に使われてるRO-Al_2O_3-B_2O:「SiO_2系（Rはアルカリ土類金属）の無アルカリアルミノホウケイ酸ガラス，半導体製造装置や光フアイバーなどに使われているSiO_2がほぼ100%のシリ力ガラスのように，限られた組成である。そうして，これらのガラスに共通する最も重要な主成分はSiO_2である。