大地震発生後の断層帯の透水性の時間変化--線り返し注水実験による測定

摘要

淡路島内での1995年兵庫県南部地震後にみられた湧水の増加とその後の減少や内陸部高地にある井戸の地下水位の低下から，1995年兵庫県南部地震時に淡路島北部全域の岩盤の透水性が良くなったと推定されています（Sato et al.,2000）。 Tokunaga（1999）は，モデルによる解析を行うことで，淡路島北部地域の透水係数が地震前に比べて地震後は5倍以上大きくなったと推定しています。 彼らの研究成果は本報告の断層近傍だけの透水性を表した結果ではありませhが，1995年兵庫県南部地震時に断層近傍の透水性も良くなったと考えられます。本報告の注水実験の結果では，地震後は透水性が悪くなり続けています。 これは地震時に良くなった岩盤の透水性が地震前の状態に戻りつつあることを表していると思われます。地震後の透水性の変化がいつ頃まで続き，どれ位の大きさになるのかを把握することは岩盤の破砕状態と強度回復過程を知る手掛かりになります。今後も兵庫県南部地震後の岩盤の透水性の変化を調査していきたいと考えています。