地質標本館創立25周年記念行事

摘要

地質標本館は，工業技術院地質調査所がつくばに移転した翌年の7月に開館して以来，今年で開館25周年を迎えました．開館当時に標本館前に植えられたメタセコイアが今では高さ15メートル以上に成長し，花崗岩の外壁をもつ清酒な建物の前景として，重厚な雰囲気作りに一役買っています．この25年間に地質標本館の位置づけが何度か変わっています．開館当時には，地質部の課相当であった地質標本館は，その後研究系と研究支援系の二課を擁する研究部として強化されました．しかし，2000年に発足した産総研の中では研究関連部門に位置づけられ，旧地質標本館の中で学芸員の役割を果たしていた研究グループは研究ユニットに切り分けられました．本格的な展示施設をもつ部署であることから，成果普及と広報を担う研究関連部門に位置づけられたものです．地質標本館は展示の背後に，管理·整備すべき膨大な地質標本を擁しており，その運営には研究分野の専門知識のみならず研究の機能が必要です．また，展示の更新や展示施設を用いた成果普及活動にも研究者の専門性が必要とされます．したがって，地質標本館が博物館としての機能を維持するためには，研究ユニットとの間で部門の壁を越えた研究人材の共有を図る努力が不可欠となっています．