低沸点成分混合による高粘度油のディーゼル燃焼·排気改善と機構

摘要

近年，省エネルギー技術の進展，代替燃料への転換などにより，石油系燃料の総需要が減少しては来ているものの，その中間留分である特に軽油の需要が堅実であるため，残る重質油を舶用あるいは産業用機関等において更に有効に利用して行くことが重要である．しかし，特に高速ディーゼル機関において粘度あるいは沸点が高い重質油を使用する場合，熱消費率，吐煙および可溶性有機物質(SOF)等の悪化が懸念される．通常，ディーゼル機関で燃料油をより有効に利用するには噴射系·燃焼系での対応に加えて，燃料加熱など燃料自体での対応があるが，最近では軽油等への低沸点成分，とりわけ含酸素物質等の混合による熱効率および排気エミッションの大幅な改善効果についても研究が進められて来ている．本研究では，重質油を燃料とする高速小型ディーゼル機関において，燃料に低沸点物質あるいは含酸素物質を積極的に混合することによる燃焼と排気エミッションの改善効果を解明すると同時に，その機構についても検討を行った．供試混合物質は，パラフィン系炭化水素，およびその制煙作用が注目されているエーテル系含酸素物質であって，いずれも低沸点物質である．