エクセルギー·エントロピー過程から考える海洋ゴミの再資源化－分散エネルギーで駆動する“資源循環エンジン”の提案

摘要

陸上で発生するプラスチック等の廃棄物や有害化学物質，放射性物質などの有害物は，最終的に海に流れていき，自然界で分解されないものは，海洋に蓄積されていく．一方で，海洋中の汚染は，我々一般市民からは見えにくく，対策も進みにくい状況である．この抜本的な解決には，循環型社会が形成され，廃棄物の適切な処理が進むことにより，海に廃棄物が流れない社会にしていくことが必要である．このような海洋に蓄積する廃棄物の中で，沿岸部に漂着する漂着ゴミは，我々が目にすることができる海洋ゴミ汚染の一つである．2009年7月に「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」が施行され，漂着ゴミの発生抑制や回収処理に対する自治体等の責務が定められている．しかし，一方で，漂着ゴミの回収·再資源化が進hでいない状況も見られる．漂着ゴミの回収，処理は，補助金などにより行われるが，資金が十分でない場合，ゴミの再資源化までは進まず，コストが低廉な山間部への埋め立て処分などの選択肢がとられることになる．