燃焼による高圧空気を駆動源とする船舶用推進装置の開発

摘要

現在船舶用の推進装置として用いられているのは大部分がスクリュープロペラであり，高速船等に用いられるウォータージェット推進も，軸流あるいは斜流ポンプ等の，いわゆるターボ機械を応用したものである。われわれは，高圧空気を水中に噴射して水を加速し，ノズルによって推力を得る装置を開発してきた。この装置では，高圧空気の供給は別として，推力発生部分は単なるノズルであり，アクチュエーターを必要としない構造となっている。高圧空気を吹き込hで水を加速すると聞くと，読者の中にはインジェクターを思い浮かばれる方が多いかもしれない，インジェクダーは乱流混合により運動量交換を行い流体を加速するもので，本質的に極めて効率が悪い。しかしわれわれが提案している推進装置は，高圧空気により直接水を加速するもので，理想的には流れを乱さず加速が実現されれば高い効率での運転が可能である。本小論のはじめにインジェクター等とは異なっていることを強調したい。著者はこの装置に関連した装置の研究を足掛け16年行っており，これまでの研究を総括した概要を報告する。