変性タンパク質を分解除去する酵素の発見

摘要

小胞体ストレスという概念が定義されて二十数年，今世紀に入り急速に広まったが，まだ知らない方も多いのではないだろうか.iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授 が，2009年にガードナー賞というノーベル賞の前哨戦ともいわれる賞を受賞したが，同じ京都大学理学部の森和俊教授も同時に小胞体ストレス研究で同賞を受賞している.森教授らの業績もま た，ノーベル賞に値する重要な研究なのである.本稿では，その小胞体ストレスについて概説するとともに，それがいかに多くの疾患の根幹にかかわっているかについて示すことにより，本研究分野の重要性，現状と将来展望を述べる.