医師主導臨床研究のためのプロジェクト進涉管理の試み-信州大学医学部附属病院臨床研究支援センターにおける 支援業務の体制整備と管理システム構築-

摘要

近年，高血圧治療薬に関する研究不正事件等を契機に， 計画から実施，結果/データに及ぶ，いわゆる「臨床研究の 質」の保証が医師?研究者主導の臨床研究において喫緊の 課題となり，大学病院等のァカデミアでは研究倫理をはじ めとする研究者教育の徹底が求められるようになった。 また，データの信頼性を保証するために人を対象とする医 学系研究に関する倫理指針（新倫理指針)においても，モ 二タリングをはじめとして多くの手順が義務付けられた.さらに，2018年4月1日より臨床研究法が施行され，特定臨床研究に関しては新たに設けられた認定臨床研究審査 委員会での審査?承認が必要になると共に，臨床研究の適 正な実施に対し研究代表者が重大な義務を負うことになつ た.このような「臨床研究の質」改善の試みは，研究者ら の作業を著しく増加させると共に，煩雑化させている.こ うした中，これらの指針や法規制を遵守し適切に対応した うえで，さらに臨床研究をより迅速?円滑に進めるため， 臨床研究を一つのプロジェクトと捉え，進涉を管理する手 法の導入がァカデミァでは試みられている.