薬剤性口腔乾燥症

摘要

わが国の口腔乾燥症の症例数は約800万人（潜在患者 3,000万人）に上り，増加傾向にあるといわれている。口 腔乾燥症=唾液分泌量の低下ととらえられることが多い が，唾液分泌量の低下だけでなく， 口腔粘膜の保湿能力 の低下や過剰な蒸発，口腔乾燥感を感じるという症例も 含めて口腔乾燥症という。精神的なストレスゃシエーグレン症候群，放射線治療 後，薬剤の副作用，咀嚼機能の低下，重度な糖尿病，更 年期，鼻疾患など口腔乾燥症の原因は多岐にわたるが， そのなかでも薬剤性の割合は高いといわれている。「口 腔乾燥」や「口渴」が副作用にあげられる薬剤は700種 類以上ともいわれており，薬剤師が口腔乾燥症のゲート キーパーとなる必要があると考えちれる。本稿では口腔 乾燥を引き起こす薬剤だけでなく ，唾液の役割や口腔乾燥症への対応法についても説明する。