精神科薬物療法と「身体副作用」

摘要

向精神薬は諸刃の剣である。臨床効果(clinical effectiveness)は薬効(efficacy)だけで決まるのではなく，副作用とのバランスで考えなければならない.精神科薬物療法を手術にたとえると次の2点で共通する。1つ目は.効果があるが一定のリスクを伴うことである。大多数の向精神薬は劇薬である。そこで薬剤師には，副作用モニタリングの中心的な役割が期待される。2つ目は，縮小化である。手術は必要最小限の切除で低侵襲性を基本とするが.抗精神病薬も多剤大量併用療法から至適最小用量へと縮小化が推奨されている。本稿では，精神科治療の進め方や考え方を概観したのちに.抗精神病薬を中心に精神科薬物療法でいかに身体副作用を予防するかを考えてみた。